2023年12月議会 一般質問

一般質問

公共施設整備と維持管理について

財政問題や少子高齢化問題の視点から、維持管理費の高騰について

それでは通告に従い一般質問を行います。

はじめに「公共施設整備と維持管理について」取り上げます。ハコモノを建設してしまうと、その建造物の規模を途中で変更できないため、以後建て替えるまでの約70年間(長岡京市公共施設等総合管理計画に合わせる)は、その建物の維持管理費を定期的に支出することになります。電気代の入札などによって多少は圧縮できるにしても、電気代やガス代などの単価に大きな変動が無い限り、ほぼ似たような金額を維持管理費として支払い続けなければいけません。今でしたら、天然ガスや石油などのエネルギー価格の高騰が続いていく事が予想されますから、維持管理費は上昇し続けて行くことになります。

日本の電源構成は、全体の76.3%が火力発電、19.8%が再生可能エネルギー、3.9%が原子力発電のため、天然ガスの輸入価格によって電気代が大きく変動します。天然ガスの輸入価格は、2020年と比べて2023年6月時点で約2倍に上昇していることから、電気料金で約3割、ガス料金で約4割上がっています。このエネルギー価格の高騰に連動した形で加工食品や建築資材(約3割上昇)などが値上がり、またガソリン代の高騰(2022年6月末:補助がなければ215円、補助後175円)によって運送料が上がり、ほぼ全ての物価が高騰しているのが現状です。国は、この物価高への対策として現金支給や補助金導入などを行っていますが、根本的な解決策としては、賃金の上昇によって解消しようとしています。そのことから労務単価が上昇しており、現在人事院から職員給与の引き上げが勧告されようとしているところです。恒久的な税収増が見込めるうえでの公務員給与の引き上げであるならいいのでが、少子化世代が就労世代となってきている中、その財源を何処に求めるのか、かなりの不安要素があります。これまでの経緯を考えると、臨時財政対策債での対応や地方自治体への交付金の減少の可能性があるからです。ただ、ここでは国に関する内容を議論するのではなく、今現在、長岡京市がおかれている状況について議論を行います。

まず、一度上がった物価は、卵のように価格が変動するものでない限り、下がる事はほとんどありません。さらに、一度上がった人件費単価は、デフレスパイラルにでも陥らない限り、基本的に下がることはありません。令和5年の建設業界指標で積算した費用別上昇割合は、令和2年度と比べて、労務単価で11.5%の上昇、材料費29.5%の上昇、経費で22.8%の上昇と、わずか2年半で急激な上昇が起こっています。建設費の高騰について、これからの議論を分かりやすくするために、今から11年前の7小と現在の4小の建て替えの費用を比べてみます。2012年に行われた7小の建て替えは、体育館とプールの建て替え込みで約16億円でしたが、現在の4小の建て替えだと約43億円と11年前と比べて2.68倍にもなっています。わずか10年そこらで2.5倍以上です。ちなみにこの10年以上もの間、ずっと建設費は高騰し続けています。

また、違う角度から費用の上昇について考察したいと思います。高齢者の増加に対して相関的に上昇する民生費を比較してみると、平成14年度61億円、平成24年度で97億円でしたが、令和4年では140億円になっています。20年前と比べて2倍以上、10年前と比べて1.4倍以上増加しています。一方、長岡京市の税収をみてみると、人口は微増しているものの、就業人口が減っているので、個人市民税収は増えていません。むしろ減っています。建設費や民生費などの上昇を補えるだけの税収の増加は、見込めないのが現状です。

だから私は、新庁舎建設の規模を身の丈に合う規模に縮小するべきだと言い続けてきました。長岡京市とほぼ同一人口規模の人口8万1800人の近江八幡市の新庁舎の建設費が、当初で45億円であったのと比べても、長岡京市の新庁舎はその2倍の100億円、維持管理費も以前の3倍の年1億5000万円にも膨れ上がっています。長岡京市の自主財源額は、年約150億円ですが、新庁舎の維持管理費だけでその財源の1%を占める1億5000万円にもなります。新庁舎の維持管理費の増加分だけで、1年間で1億円です。20人近い規模の職員の人件費に相当する、この恒常的な支出を何で補っていくのか、極めて大きな問題です。恒久的な税収増加の保証があればいいのですが、超少子高齢化社会ですから民生費は増える一方で、下がる事はありません。2030年問題を目前にして、民生費総額が自主財源額を超えるのも時間の問題でしょう。

ここでは、エネルギー価格の高騰によって増加している公共施設の維持管理費についてお尋ねしたいと思います。例えば、小中学校の維持管理費である光熱水費が昨年度では1億200万円の追加補正、今回では3500万円の追加補正が予定されており、合わせて1億3000万円を超えています。そこで、市が管理している全ての公共施設における維持管理費は、コロナ禍前の2019年度(令和元年度)と比較して、このエネルギー価格の高騰によって、総額でいくら増えているのか、またそれらは2019年度と比べて何%の上昇になっているのかお聞きいたします

そして、増え続ける民生費、高騰し続けているハコモノ建設費の起債の償還とその利息の支払い、確実に増加している維持管理費の支払いについて、市長は、増税で対応していこうと考えているのか、それとも事務事業を減らしたり縮小したりして対応していこうと考えているのか、今後どのような対応をしていくのか、これらの問題についての考えをお伺いいたします。

 

長岡京市公共施設等総合管理計画について

私は、恒常的な支出を抑え、減らしていく事が、まずもって必要であると考えています。そのためには、そもそも必要のないハコモノを建設しないこと、建設するにしても不必要な規模にしないこと、そして建設した建物についてもできる限り維持管理費を縮小すべきだと考えています。だから、道の駅建設に反対をし、新庁舎建設についても、開発規模が大きすぎると反対をしてきました。ハコモノを作ってしまった後では、その維持管理費の削減などは小手先程度しかできないので、最終的には職員人件費などで調整するしかない状況になってしまいます。しかし、そういった状況に陥ってしまうことは、就業人口の減少が見込まれる現代では、良い方向ではないと考えています。建設費が高騰しているなか、恒常的な支出を抑え、減らしていくためにも、ハコモノ建設について、廃止や縮小にも踏み込んだ、しっかりとした精査が必要であると思います。以上のことから長岡京市公共施設等総合管理計画の見直しが必要だと考えています。

施設の縮小化や廃止などを行わず、全ての施設を長寿命化により維持するという方針のもとでの更新費用の平準化というのは、借金そのものを全世代に分散しているだけで、根本的な問題解決にはなりません。維持管理費や返済計画の見通しを立てて借金を減らしていくといった方策が必要です。世代人口が等しいのであるならば、平準化による返済計画はまだ分かりますが、超少子高齢化社会においてはそうではありません。(実績平均額線を右肩下がりにしていく必要がある)

この長岡京市公共施設等総合管理計画は、平成28年3月に策定され、それをベースに昨年の令和4年3月に改定されたものですが、この1年間に起こった激しい物価高の影響で、これまでよりも更に建設費の高騰が見込まれることから、例えば施設更新経費の総額などが大きく変わってくるかと思います。施設の更新経費は、平成28年の策定段階では、築後35年で大規模改修、築後70年での建て替えの想定で、今後40年で合計666億円と算出されていました。それが令和4年の改定では、672億円に変更されています。しかし、この1年で随分と状況が変化していること、また今後の金利上昇を考えると、改修や建て替えを前倒しにした方がいい場合もありえます。この総合管理計画は、極めて多額の税金を活用する計画の基礎となるものですから、傷口が広がらないうちに見直しを行う必要があると考えますが、市の見解を求めます。

また、この長岡京市公共施設等総合管理計画の根幹は、全ての施設について「機能を維持し、長寿命化を推進することで、総費用の削減を目指す」としています。電気代やガス代などのエネルギー価格が高騰しており、維持管理費そのものが3割近くも高騰してきている中で、機能を維持するという条件下で、長寿命化することは、維持管理費の高騰の問題が避けられないと思います。長岡京市公共施設等総合管理計画における「総費用の削減」をどう考えているのか市長にお伺いいたします

 

市営駐輪場と市営駐車場について

ゼロカーボンシティへ、電動バイクや電気自動車の普及を考えて

次に、「市営駐輪場と市営駐車場について」、「ゼロカーボンシティへ、電動バイクや電気自動車の普及を考えて」を取り上げます。長岡京市は、2009年4月1日に「環境の都」長岡京市環境都市宣言をしました。それは自然と共生する持続可能な社会を目指し、「環境の都」長岡京の実現を目指すものです。その宣言を受けて、長岡京市第三期環境基本計画の中では、持続可能なまちづくりの7つの基本理念を掲げています。そしてその基本理念を実現するための基本施策は、気候変動対策、資源循環、環境共生、都市環境の4つの柱で構成をされています。今回の提案は、気候変動対策に含まれる再生可能エネルギーの普及や、次世代自動車等の普及促進および排出ガスの抑制などのエコ交通システムの導入促進につながるものです。

9月議会の委員会でも少しお話をさせていただいたのですが、近年、蓄電池の開発は凄まじい進歩を遂げています。中でも注目すべきなのは、6月に発表された出光とトヨタ自動車が開発し、量産化に向け合意した全固体電池です。もちろん現在世界各国のいろんな会社が、全固体電池の開発を行っているわけですが、この出光とトヨタの全固体電池は、わずか15分程度の充電で、東京から青森まで電気自動車を走らせる事ができる、次世代バッテリーと呼ばれているものです。そしてこの全固体電池は、今後2027年の電気自動車EVに取り付けるため、量産されていくとの話です。この電池の特徴は、高容量、高出力、高耐熱、高速充電、長寿命、低コスト、発火リスクが少ないことです。ゲームチェンジャーと呼ばれているこの製品が量産され始めたら、電気自動車EVはもちろん、太陽光パネルからの家庭用蓄電池や電動バイク、電動自転車、スマートフォンやコードレス掃除機などにも利用されることになり、これまでの電化製品などのあり方が大きく変わります。

長岡京市は2050年ゼロカーボンシティを目指しているわけですから、こういったものの流通と普及を加速させていくべきだと考えます。

原付バイクの2025年問題と言われている内容について、これは125ccよりも50ccの原動機付自転車は、厳しい排気ガス規制をクリアすることが難しいため、2025年11月から生産されなくなります。今後ガソリン駆動のバイク生産は、世界規模の市場である125cc以上をメインに移行しようとしています。そのためバイク業界各社は、現在原付バイクの電動化を進めています。その電動原付バイクに全固体電池がバッテリーとして搭載されると、充電時間の劇的な短縮や長時間走行などの利点から、加速的に広がっていくものと予想されます。

そこで再度提案させていただこうと思うのが、電動バイク(以下:電動スクーターも含む)に対する市営駐輪場料金の減免です。これは、今から13年前の2010年3月議会一般質問で私が提案させていただいたものです。2010年当時のガソリン価格は、レギュラーで1リッター130円程度でしたが、今は補助ありで175円、なければ215円もしています。コスト面から考えても、2025年前後あたりから電動バイクへの買い替えが広まるのではないかと思われます。前回提案をさせていただいた2010年当時に市営駐輪場料金の減免制度を行っていれば、他市町村にはまだ無かった制度だったので、画期的な環境施策として全国から注目され、市民の皆さんにも環境意識をもっと持ってもらえたと思うのですが、現在はフランスのパリ市など多くの自治体でも行われております。パリ市では、電動バイクの駐輪は無料にしており、ガソリン駆動のバイクは有料にしています。それでも、まだ日本国内ではそれほど広がっていない制度です。長岡京市が「環境の都」を目指して取り組む内容として、電動バイクに対する市営駐輪場料金の減免はふさわしいものであると思いますので、この制度を提案いたします。

例えば、現在市営駐輪場の一時預かりは、125㏄が350円、原付250円、自転車が150円となっていますが、電動バイクは、自転車と同じ150円にするなどの減免を行うのはいかがでしょうか。この事業は、それほど費用がかからない上に、市営駐輪場に充電装置の設置も合わせて行えば、ゼロカーボン社会に向けた取り組みとして市民の皆さんにも身近に感じてもらえますし、協力しやすい取り組みとなるのではないかと考えますが、市の見解を求めます。
 
また、自動車についても、2027年あたりから電気自動車への買い替えが進んでいくと考えられますので、市営駐車場についても同様に、市内の排気ガスゼロを目指して、電気自動車の市営駐車場料金の減免と、充電装置の設置を行っていってはどうかと考えますが、市の見解を求めます

 

 

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